市民後見ニュースレター2020年10月号を発行しました

勉強会・イベント時に配布しておりました「市民後見ニュースレター」ですが、今回からデザインをリニューアルしてHP等でも配布することになりました。

PDF版はこちら
市民後見ニュースレター2020年10月号

 

(以下:文章内容)

成年後見利用促進ニュース

新型コロナウイルス感染症の対処について、政府の基本対策方針に基づき、社会福祉分野における留意点に関する事務連絡等が厚生労働省より随時発出されています。
成年後見制度利用促進等に関する事務連絡については、下記のリンクにてご確認下さい。

(新型コロナウイルス感染防止等のための
中核機機関・権利擁護センター等における対応について)

https://www.mhlw.go.jp/content/000621127.pdf

押さえておきたい基本の「き」 ~成年後見入門①

なかなか収束を見ないコロナ禍では、生活様式も一変し、外出もままならない日々ですが、成年後見人等の活動も何かと制約されています。特に心身の状態などを確認するために行う見守り業務などは、従前のように定期的な訪問が難しくなっています。
本人が自宅で生活している場合は、滞在時間を短くし、訪問回数を減らしたりしますが、視覚での確認が難しくなるので、その部分を補うためには、本人や本人が利用する福祉関係者などに電話をし、状況確認を行います。

本人が施設に入所していたり、入院中だと訪問できない場合も多く、そうしたケースは、施設等や医療機関の担当者などに電話して状況確認をすることになります。多忙を極める担当者へは、事前に時間調整する配慮などは必要になりますが。

これからコラムの連載を始めていきたいと思っていますが、まずは原点に立ち返り簡単に成年後見制度について触れてみたいと思います。

成年後見制度は、2000年に介護保険制度と同時に施行され、認知症や知的障害、精神障害などによって、物事を十分に判断する能力がない人を保護し、法律的に支援する制度です。

物事を判断する能力の不十分な人は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設入所に関する契約を締結したり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。
また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を締結してしまい、悪徳商法の被害にあう恐れもあります。

そのような状況に対応するため、本人の財産を管理したり、本人に代わって契約を結んだりするのが成年後見制度です。
成年後見制度は、本人が安心して、その人らしく生活できるように保護し、サポートしてくれます。

成年後見制度には、『任意後見制度』と『法定後見制度』の2種類があります。

<成年後見制度の種類>

成年後見制度 任意後見制度 法定後見制度

≪任意後見制度≫とは、
本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ自ら信頼できる代理人(任意後見人)を選び、自分の生活や施設などの利用契約や預貯金の財産管理についての事務など、どのような支援をしてもらうかを決め、代理権を与える「公正証書」での契約を、公証役場で公証人により結んでおくものです。
そうしておくことで、本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと、本人を代理して契約を締結することによって、本人の意思に従った適切な保護・支援をすることが可能になります。

≪法定後見制度≫とは、
断能力が十分でない人について、家庭裁判所に申立をし、家庭裁判所が支援する人(成年後 見人等)を選任する制度です。
法定後見制度は、判断能力の程度などの差によって「後見」、「保佐」、「補助」の3つに分類されています。
成年後見人等は、それぞれ3つの分類により、本人の利益を考えながら本人を代理して契約を締結するなどの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護し支援したりします。

※≪任意後見制度≫と≪法定後見制度≫は、次回、次々回でもう少し詳細に触れてみたいと思います。